午後2時

俺は、どちらかというと自分は淡泊なほうだと思っていた。

自分の性癖は早くから自覚していたから、スバルくんと出会う前も、数人の男と付き合ったことがある。

けれど、だれとしても「出す」気持ちよさはあったけれど、後ろでそれほど感じたことはなく、相手に合わせていた感じだ。肌を合わせること自体は気持ちよかったけれど、後ろだけで達したこともなかったし、前で出すのは自慰のそれと大してかわらないような気がしていた。

 

だから、スバルくんが俺に教える何もかもが、俺には新鮮で、驚きの連続で、……俺の身体は確実に作り替えられていった、と

思う。

 

俺の仕事が休みで、スバルくんの授業もない、土曜日の午後は「2人の時間」で、一緒にいればどうしたって触れ合いたくなる。スバルくんといると俺は条件反射みたいにあそこがヒクヒクうずうずするし、スバルくんは二人きりになれば俺の体に触れ、撫でて、キスをしてくる。

 

だから、まだ外が明るい時間だろうとなんだろうと、俺たちは欲望のままに重なり合って、互いの熱を擦りつけ合い、体を抱きしめ合うのが常だ。

 

「んっ、――っ、ぁ、あああぁぁぁっ」

俺の中に埋め込まれていたスバルくんの雄がずるりと引き抜かれる。けれど全部は抜いてしまわず、先端だけを残したままゆるく腰を回した。

「あぁぁっ、やだ、やだそれ、スバルくん……っ」

入り口のところだけを刺激されて、ぐずぐずに溶けていた俺の身体はたえられないと細かく震えた。スバルくんの腕にしがみついて、やめてと懇願するけれど、スバルくんは俺の願いなど聞き入れることなく張り出した部分を埋め込んだり抜いたして、もどかしい刺激を俺に贈り続ける。

「あぁぁっ、も、う……っ、もう、やだぁ……っ」

奥も弱いけれど、俺は入り口も同じくらい弱くて、特にスバルくんの張り出した部分が出ていくときの、内側から広げられる感覚がたまらない。さっきから涙が止まらず、俺は顔をぐちゃぐちゃにしたまま、両足をスバルくんの腰に絡めていやいやと頭を振った。

「どう、して……? 陽史さん、これ、すごく好きでしょ?」

スバルくんが息を乱しながら甘く問いかけて、また腰を回す。

「ここ、いじめられるとたまらないんだよね?」

スバルくんの指ががつながっている部分をなぞり、俺はその刺激にまた高い声をあげて背筋を反らした。

「やぁぁぁあ……っ」

一番弱いところを繊細な指先でくすぐるようにされて、止めようもなく切羽詰まった声がこぼれた。

スバルくんが俺の下腹部に手を伸ばしてそっと腹を撫でる。ぬるりと滑る独特の感覚に視線を落とせば、俺の下腹部は白濁に濡れていて、先ほどの刺激で達したことを知る。スバルくんはそれを指に取り、ふっと笑った。

「これだけでイッちゃったの?」

寝室の窓からは健全な午後の日差しが差し込み、その光の中で全てが見られているとおもうと、たまらなくゾクゾクする。

スバルくんの指についている白いものが、精液だなんて……とても、おもえないくらいに、スバルくんが触れるなにもかものがきれいに見えたのに。

「……んっ、ふ」

白濁を救った指で俺のくちびるをなぞり、開けというように指先を間に潜り込ませてきたから、俺は素直に口を開いてスバルくんの指を口内に迎え入れた。

青臭いそれはけして好きではない。スバルくんのならまだしも、自分が吐き出したものを含まされるのはどうしようもない倒錯感と少しの嫌悪感があった。

午後の日差しの中で見たそれはまるでミルクのようだったけれど、俺の口に含まされた液体はまごうことなき精液で、独特の臭いと味が、やっぱり好きになれない。

スバルくんのなら、嫌いじゃないんだけど。

けれど、スバルくんに逆らえない俺は、抵抗せずにスバルくんの長い指に舌を這わせ、彼の指を汚す液体を舐めとって飲み込む。

「ほんっと、エロいなぁ……陽史さん。その顔とか、最高」

スバルくんが満足気に頭上から囁きを落として、指先で俺の舌を撫で、くすぐる。

「っ……、ん、んん」

スバルくんの指に舌を這わせ、舐めしゃぶり、まるでそれが彼のペニスであるかのように口で愛撫すると、少しだけ埋め込んだままだった彼自身が体積を増したのが分かった。

「……っ、陽史さん、それ、反則っしょ」

少しだけ掠れたスバルくんの声が愛しい。

俺の舌を、スバルくんが二本の指で挟みこんで顔を近づけると、目元にキスを落とした。

「……どうしてほしい?」

そう問われ、俺は少しだけ腰をよじる。

「……ふ、ふはるふんの……っ」

舌を挟まれたままではちゃんと喋れない。しかもしゃべろうとすると、口の端から唾液がこぼれた。

「……はっ」

スバルくんを見上げて、舌を挟む指を解放してくれと目で訴えるが、スバルくんは気づかないとでもいうように、指を俺の口から抜かず口角を上げて俺を見た。

もっと、ほしい。

先っぽだけスバルくんを食んでいる俺の穴はジンジンしていて、そして奥はスバルくんを待ち焦がれて疼いていた。

「んぅぅぅ」

たまらなくて、スバルくんの指に軽く歯を立てるけれど、スバルくんは動いてくれない。

スバルくんの指を含む口の隙間から熱い息が漏れ、知らず甘えたような声が抜けた。

もう、欲しいんだってば。

スバルくんの腰に足をしっかり絡め、自ら腰を浮かすと、ぐちゅ、と音がしてスバルくんのモノが俺の中に入ってきた。

「……っ、陽史さん、自分で」

スバルくんが焦ったように腰を引こうとするけれど、逃さないとばかり、俺は半分ほど埋め込んだスバルくんの雄をぎゅっと締め付ける。

「……っ」

スバルくんが息を飲み、喉の奥でうめく声を上げた。快楽にゆがむ顔はたまらなくセクシーで、俺がこの顔をさせているかと思うとゾクゾクするものが背筋を駆け抜ける。

ついにスバルくんは俺の中から指を抜き取り、噛みつくようなキスを仕掛けてきた。

「……ん、っふ、」

熱い舌を絡め、互いの口腔内に誘い合う。スバルくんの首に両腕を回して引き寄せ、顔を傾けてより深くくちびるで繋がりあう。スバルくんの舌が俺の口腔内に潜り込んできて歯茎をくすぐり、上顎を舐め、余すところなく舌とくちびるで愛撫していく。

くちのなか、こんなに気持ちいいなんて……

知らなかった。スバルくんとキスするまでは。

スバルくんがくれるキスに夢中になっていると、ぐい、とスバルくんが腰を押し付け、その逞しいものを俺の中に埋め込んできた。

「んぅーーーーっ」

突然の刺激に思わず上げた悲鳴は、スバルくんの口の中に吸い込まれていく。深くまで埋め込まれ、その切っ先は内部の、俺のいちばんいいところを容赦なく擦り上げた。

「ふぅっ、んっ、んっ……!」

快楽が渦となって腰骨の中で火を吹き、俺を焼き尽くそうとする。気持ちよくて、でももどかしくて、けれど逃げようがなく俺はスバルくんにしがみついて、涙をこぼしながら合わせた口の隙間から喘ぎを漏らした。

スバルくんが力強く腰を使って、俺の中を抉るように掻き混ぜる。その刺激にまぶたの裏が何度も白くはじけて、俺はひときわ高い声を上げてのけぞった。

ついにキスがほどけ、俺の恥ずかしい声が隠しようもなく零れていく。

「あああぁぁぁああっ………」

触れられてもいない俺のそこは白濁を勢いよく吐き出し、瞬間的に体内のスバルくんを強く締め付けた。

体の奥深く、熱いしぶきを感じる。俺の体内で達したスバルくんを、絶頂後の俺の体は何度も不規則に締め付け、その度にスバルくんが耐えるように眉を寄せて俺を見つめた。

「ようじ、さん……」

全てを出し尽くすと、スバルくんは俺の上に崩れるように重なり、繋がったまま強く抱きしめ、額にキスをくれた。

 

やがてゆっくりクールダウンした俺たちはもぞもぞと身体を動かす。スバルくんが抜け落ちたそこからは、彼が吐き出した白濁がトロリと流れ落ちて、俺はその感覚に震え、汗で湿ったシーツの上で体を丸めた。

「陽史さん、シャワー行こう」

身を起こしたスバルくんがそう呼び掛けてくれるけれど、完全に力が抜けた俺は起き上がる力もわいてこなくて、ベッドの上からスバルくんを見上げた。

やわらかい色の髪の毛先が乱れて、襟足の髪は汗で首筋に張り付いていた。

……したあとのスバルくんは、いつもより数倍カッコイイ。

こんな姿、絶対誰にも見せたくない。

そんなことを考えながらスバルくんに手を伸ばすと、スバルくんが「しかたないな」というように笑って俺の上に身を伏せ、優しいキスをくれる。

「抱っこして連れて行ってあげようか?」

抱っこは恥ずかしいし、さすがにそういう年でもないし、けれど自分で立てる気がしなくて、俺はわずかに頷き、スバルくんの首筋に手を回した。

シャワーを浴びても、まだ午後は長い。

1回で終わるはずがないスバルくんとのセックスが、今日の午後はどんな風に展開していくのか。

それを考えながら、スバルくんの肩に額を押しあてた。

Fin