お迎え

10年前の冷夏。
彼と会う時は、たいてい雨だった事を思い出す。

まだ、高校生だった俺を、よく校門のところまで迎えに来てくれた。
校門の少し左手。
見慣れた車を見つけたときはすごく嬉しくて。
たいてい傘を忘れている俺は、濡鼠のまま、助手席に転がり込む。

シートが濡れる、と口先では文句をいいながら瞳はすごく優しかった。
ちゃんとタオルが用意されていて、ゴシゴシと頭を拭いてくれた。

凍えた夏だったけど、俺達は最高に熱かった。
夜景がキレイなところまでドライブをし、時間がたつのも忘れてシートでキスを交わした。

今年も、雨が多い。
今度は俺が迎えに行く側になるとはね。

苦笑いを浮かべながら、スーツ姿の彼が駅から出てくるのを待つ。

Fin