しようよ。 4

 りっちゃんと僕が、こういうちょっとした性的なつながりを持ち始めたのは、僕が中学生の時で、初めて射精をしたのはりっちゃんの手の中だった。
 エッチな夢を見て、あそこが硬くなって張りつめて、どうしていいかわからなくなって前を押えてりっちゃんの部屋の窓を叩いた僕を、りっちゃんは自分の足の間に座らせて手で導いてくれた。
 お尻の中が気持ちが良いことを教えてくれたのは、りっちゃんがイギリスに行く少し前で、その時もやっぱり僕はりっちゃんとしたくて、でもりっちゃんは受けいれてくれなかった。
 悲しくて切なくて泣きだした僕を抱きしめながら、りっちゃんは「代わりに」と言って僕のお尻の中に指を入れて、慎重にかき回した。
 それはまるで疑似セックスのようで、初めてだったのに僕はものすごく気持ちよくて、必死で声を抑えてりっちゃんの指を後ろに受け入れながら自分の手で前を擦って射精した。
 僕の初めては全部りっちゃんで、けど僕が欲しいのはりっちゃんの指だけじゃない。
 もちろん指も好きなんだけど。

 りっちゃんがイギリスに行っていないあいだ、僕はずっと自分で後ろを慰めた。
 りっちゃんがしてくれたみたいに。りっちゃんを思いだして。

 最初のころより、ずっと柔らかくなって広がるようになっている僕の後ろの孔にりっちゃんは軟膏で滑る指をそっと入れる。
 それだけでくぐもった声が出そうで、僕は必死で歯を噛みしめて耐える。それでも鼻から抜ける息が荒く熱を持っていくのは止められない。
 りっちゃんの指が僕の中をぐるりとなぞるように愛撫し、僕は片手でりっちゃんのパジャマを掴み、もう片手をズボンの中に潜り込ませた。
 僕、りっちゃんにされたら、すぐにいっちゃうから。汚さないように、自分の分身の先を手のひらでつつむ。
 上掛けの下で、さらに僕の手はパジャマと下着の中で、りっちゃんからは見えないから、自分で自分のを扱いてると思っているのかもしれない。
 でも僕の手は先端をつつむだけで、全身の神経はりっちゃんの指を受けれいている後ろに集中している。
 りっちゃんの指がいったん抜かれ、今度は二本になって差し入れられる。
 その時の少し広げられる感覚が大好きで、僕はつい「あぁ」と甘い溜息を洩らした。
「悠貴」
 りっちゃんが僕の名前をささやきながら、僕の中をゆっくりとかき回す。ぐちゅ、という濡れた音がすこしだけ聞こえてきて、ちょっと恥ずかしくて、でもそれはりっちゃんが僕の身体を可愛がってくれている証拠だから、恥ずかしさより嬉しさのほうが勝ってしまう。
 りっちゃんの指がそっと、羽根で触れるように僕の前立腺に触れる。
「……っ」
 全身が震えて、声を出さないようにりっちゃんのパジャマの布にかみついた。
 僕の反応を確かめながら、りっちゃんの指が繰り返し、僅かに前立腺を触れる。
 そのもどかしさがたまらなくて、僕は声を上げないように呼吸を止めて、りっちゃんの指が前立腺から離れた瞬間にひゅっと息を吸う。自分の手で握りしめた自分の分身が、ぐ、と硬さを増した。
「ゆうき……」
 りっちゃんが僕の耳に唇を付けてささやきを流し込み、こんどははっきりと前立腺に触れた。
「っ!!!」
 びくんと身体が跳ね、なんとか声は出さなかったけれど、手の中の自身がこぼした先走りが僕の手を濡らした。
 自分自身を握り締めながら、僕の腹のあたりにりっちゃんの分身が触れるのを感じる。そこは普段よりも硬く、りっちゃんの衣類を押し上げていた。
 すごく触りたい。
 自分のじゃなくて、りっちゃんのを触りたい。

 でも、りっちゃんはがんとしてそれを許してくれないから、僕はしかたなく自分のを触る。
 自分のをりっちゃんのだと思って、少しだけゆるゆると手を動かしてみた。その間もりっちゃんは僕の後ろを柔らかくかき回し、気まぐれに前立腺に触れてくる。
 前と後ろと、両方からくるダイレクトな刺激に、僅かに腰が揺れる。
「りっちゃん」
 かすれた声で名前を呼んだ。
 返事の代わりにりっちゃんはキスを耳の下にくれた。
「もっと………」
 好き、の代わりにそう強請った。
「いいよ」
 低い艶のあるりっちゃんの声。
 もう一度指が抜かれて、今度は三本入れられたのが分かった。
 痛みなど全然ない。
 広げられれば、それだけそこはいつでもりっちゃんを受け入れることができるのに、と切なさを感じるだけだ。
 三本の指が僕の中を愛撫し、僕は自分の先端を包んでいる手を動かすのを止めて、りっちゃんがくれる刺激だけに集中する。たぶん、もうすぐいってしまう。
 この瞬間がずっと続けばいいのに。
 りっちゃんだけがいる世界。

 りっちゃんの指が前立腺を軽く押し上げ、僕はびくんと身体を震わせた。手の中のペニスからとろりと先走りがこぼれる。今度はそっと撫でるように優しく前立腺を押され、僕はつい腰を振った。
「ゆうき」
 りっちゃんがささやく声が熱を孕む。
 僕の腹にあたるりっちゃんのも、すっかり育っているのが分かる。
 りっちゃんの指が、ぐ、と僕の前立腺を押し上げる。
「んっ………んぅーっ!」
 必死で声を殺して、りっちゃんの胸に頭を押し付ける。
 りっちゃんが僕の最後を促すように、押し付けた前立腺をぐりぐりと左右に転がすよう指を動かした。
 たまらず、僕は絶頂に駆けあがる。
 誰にも聞かれちゃいけないから、奥歯を噛みしめ、背を丸めながら。僕の後ろの孔がぎゅっと収縮してりっちゃんの指を締め付けた。
 手の中に、とろとろと白濁がこぼれてくる。
 身体中が不規則にビク、ビクと震えた。
「ゆうき……」
 溜息のようなりっちゃんの声。
 ところてんでいくと、甘い絶頂感が尾を引いて、止まらない。
 耳元に繰り返されるキス。僕の背中を抱きしめる腕。
 達した僕をこれ以上刺激しないように、動かなくなったりっちゃんの指をきつくしめつけながら、僕は腹に感じるりっちゃんの熱に想いを馳せていた。

 これが、ほしいよ。
 りっちゃん………

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