ヒミツのアルバイト 1

着ているものを全部脱いで、チェストからベビードールのセットを取り出す。
今日はサテンの黒のスリップと、同じ色のTバック。サイドはヒモを結ぶタイプで、セクシーだ。
それらを身に着けて、栗色のロングヘアのウィッグを被る。
丁寧にメイクをして、鏡を見ると、そこにはあたしじゃないあたしがいる。

クローゼットの中の小さな箱を取り出すとローテーブルの上に置いた。
ローテーブルの上にはノートパソコンと箱だけ。
パソコンを起動させながら、箱を開ける。
色とりどりのローターと、バイブがそこには所狭しと並んでいた。

大きな座椅子に、座椅子と同色のバスタオルを敷いてから腰を下ろす。
パソコンからサイトを開いてログインした。
マイルームには、パソコンに設置したカメラが映し出すあたし自身が映っている。
ふわふわの髪と大きな瞳。ピンクのリップ。
そしてセクシーなランジェリー。
白い壁紙のシンプルな背景には、あたしが座る座椅子の背中だけが映る。
おかしなものは映り込んでいないし、身だしなみもOK。
画面をもう一度確認して、あたしは「待機」ボタンをクリックした。

あたしは、美和からナナに変身する。

お仕事タイムのスタートだ。

あたしにこのバイトを教えてくれたのは、おなじ大学に通う友人のユカリだった。
「簡単で、稼げるバイトがあるよ」
とこっそり教えてくれた。
その内容は、ちょっととんでもないものだったけれど……

あたしは、そこに飛び込んだ。

画面の下に、あたしの待機画面を見ている人の人数が表示される。
午後7時。ピークには少し早いけれど、すでにログインしている男性会員はそれなりにいるみたいで、ウォッチ中の人数はすぐに二桁になった。
今日は、どんな人がチャットインしてきてくれるんだろう。
画面をじっと見つめてその瞬間を待ちながら、あたしのあそこはすでにじんわりと熱くなり始めていた。

「ピン」
という高い音がして、一人の会員さんが私のチャット画面にインしてくれた。
画面に映された名前は、「シンゴ」
あたしをお気に入り登録してくれていて、時々お相手してくれる常連さんだ。
一人がインすると、男性が見るログイン中の女性一覧画面の中で、あたしはパーティー状態になる。すると「のぞきみ」するためにインする男性会員がどんどん増えていく。
「こんばんは。来てくれてありがとう!」
普段よりも、少しだけ高い声を作って、明るい声でシンゴさんに呼び掛けた。
男性側は2ショットにならなければ向こうのカメラもマイクも使えない。チャットボックスに文字を打ち込むだけだ。
『こんばんは、ナナちゃん。今日もセクシーだね』
「えへへ、ありがとう! これ、可愛いでしょ?」
あたしは黒いサテンのスリップの胸元を少し摘まんでみせた。
縁に細かくあしらわれた黒いレースと、胸元にはベビーピンクのリボンが付いている。見ようによっては、セクシーにも可愛くも見える。
『下はどうなってるの』
「みたいー?」
甘えるようにいうと、
『見せて』
とすぐに返事が入力された。
座椅子の上に膝立ちになると、こちらの画面からはあたしの顔は消えて胸から下だけが映る。
ベビードールの裾は太ももの上のほうまで。ギリギリお尻を隠す長さだ。けれどサイドに切れ込みが入っていて、パンティのヒモの部分が見えるようになっていた。
画面に映るあたの足は、本物の色よりも照明で白く飛んでいる。そこまで細くもないけど太すぎもしない太ももは「肉感的でセクシー」とここの会員さんたちからは好評だ。
少し身体をよじり、サイドのスリットからパンティのヒモの部分がカメラに映るようにした。そのまま裾を掴んで少しずつ持ち上げる。
次第にあらわになる、下着のライン。
大事なところを覆う面積はとても小さくて、本当にセクシーだ。
画面に映される自分自身の身体を見ながら、胸の鼓動がドキドキと早くなっていく。
のぞき見をしている会員の数は今、9人。
あたしは、シンゴさんとそのほかの名前のわからない9人の人たちの見ている前で、ストリップを始めようとしていた。
裾をおへそまで持ち上げる。
小さなショーツが覆うあたしのあそこと、お腹。ヒップのラインが丸出しになっていた。
『後ろも見せて』
シンゴさんがチャットボックスに打ち込んだ。あたしは裾を握りしめたまま、カメラの前でゆっくりと方向を変える。
Tバックの細いヒモがかろうじて布を抑えている、ほとんど裸同然のお尻が画面に映し出されている。
あたしは後ろを向いたまま、目を閉じて熱い息を漏らした。
一回転するように回ってもう一度前を向く。再び座椅子の上に座ると、のぞき見の人数はさらに増えていた。
『エッチなパンツだね』
「うん」
『もう濡れちゃった?』
「………わかんないよ」
『たしかめてみて』

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